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★★★★
闇の降りる庭
著者: 駒崎 優
ISBN: 4062553538
発売年月: 1998/04
本体価格:¥ 494
amazon 紀伊國屋 JBOOK
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内容説明
ある日、魔術を使えるという美貌の男がマッテオ家にやってきた。
「神が見たいとおっしゃるのなら、見せて差し上げましょう。」
彼の魔術に心酔したマッテオ夫妻は、彼を家に住まわせると言い出した。 そして、そのころから町の子供が行方不明になっていく。
不審に思ったマッテオ家の庭師シモーネは、魔術師を協会の異端審問にかけられないかと、修道士の友人に相談するが…。
感想
魔術がでてくる作り話ですが、世界観は15世紀のイタリア(?)の、ある一家を舞台とした作品です。 軽い話ではなく、少しまじめっぽい作品です。
庭師のシモーネと、お嬢様のチェチーリアが、 家に住み着いた魔術師の陰謀をあばこうとする作品です。
魔術とありますが、ファンタジーによくある魔法とは異なり、「異端審問」 等がでてきます。
この作品のよさは、物語設定のよさだと思います。 現実を基にしているので世界観もしっかりしているし、日本ではないので新鮮さがあります。 それでいて歴史物にありがちな長い説明がありません。
悪いところを言えば、全体的にいい雰囲気を出している代わりに、おおきな見せ場がなかったですね。 主人公やヒロインの出番からして少なかったような…。
激しい戦いや、恋、涙、は全然ありません。 おちついた雰囲気の作品です。 魔術師が家に住み着いてから、その魔術師を倒すという話です。 多くが魔術師の行動を中心として話が進みます。もうちょっと主人公やヒロインの活躍があっても良かったと思います。
もうひとつ、魔術師の行動によって緊張感がでてくるのですが、 かなり場面が変わることが多く、緊張感が途切れてしまっています。
雰囲気だと対象年齢が高めですが、読みやすさは普通くらいだと思います。 ただ、書き方はかたい感じでライトノベルっぽくないです。
魔術師に何人か殺されていますが、描写が少ないので、まずまず気分が悪くならずにハッピーエンドです。
私の評価は、「平均より少し上くらい」です。
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★★★★
足のない獅子
著者: 駒崎 優
ISBN: 4062553759
発売年月: 1998/10
本体価格:¥ 630
amazon 紀伊國屋 JBOOK
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内容説明
十三世のイギリス。 剣と弓と知恵を武器に、弱きを救いつつ金儲けにいそしむ二人の貴族・リチャードとギルフォードがいた。
その二人のもとに金貸しのユダヤ人が助けを求めてやってきた。 彼は大金を貸し付けた証文を盗まれてしまったという。 二人はこの事件を解決することができるのか。
感想
イギリスという歴史的な世界観を使った、二人の青年の人助け話です。
二人は貴族なのですが、騎士見習いで、領主の仕事を手伝ったり、修行をしながら、町で人助けをやっています。 今回は泥棒の犯人を捜すのですが、隣のあくどい領主が関わってきます。
はじめに言っておきますが、このシリーズは二人が知恵を出して事件を解決する話です。 詳しく言えば「ゴロツキ」や「謎の貴族」などが複数登場し、関連の無い行動をしているように見えたのが調べていくうちに話が繋がっていく、という複雑な流れであることが多いです。 そのため高評価しているにも関わらず面白さがうまく説明できていません。
私はイギリスの地名を知らないのですが、王都から離れた「いなかの土地」での話しのようです(?)。
彼らは町の人間に人望があり、そこから情報を集め、考え、行動します。 事件解決までの頭脳戦が印象強いです。 ギャグなんて全然無い話ですが、幅広い人に進められると思います。 ドタバタするような軽い感じではありませんが、やさしい雰囲気の話です。
中世のイギリスを馬で駆け、弓をたくみに操り、そして知恵で乗り切るというのは人気がでそうな設定だと思います。 隣のあくどい領主をだしぬいた所は読んでいてかなり気分が良かったです。 イラストにあるリチャードの絵も好きだし…。
ちょっと文章は文字数が多いのですが、 現実をもとにした世界観なので無駄な説明はそんなにありません。
いい終わり方だと思いますが、終わり以外にも、リチャードが推理をして行動するときに盛り上がります。
展開は早く複雑ではありますが、人の気持ちの描写が多く書かれています。 状況はわかりやすいと思います。
私の評価は、「高めの評価」です。
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★★★★★
裏切りの聖女―足のない獅子
著者: 駒崎 優
ISBN: 4062553945
発売年月: 1999/02
本体価格:¥ 557
amazon 紀伊國屋 JBOOK
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内容説明
リチャードは文書保管所から手紙を盗んできてほしいという依頼を受けた。一人の女性を守るためだと言うので引き受けたのだが、
なんとその手紙には国王への反逆の計画書が書かれていた。
「きっとまだ、俺たちの知らない裏がある」
その手紙をめぐって何人もの人間が動きだした。 リチャードはこの事件を解決できるのか?
感想
シリーズ第2弾です。 最初は何でもない話がいくつか出てきて、それらがだんだん繋がってきます。
新しくヨーク大司教の懐刀の司祭がやってくる話、 ヨーク大司教の甥が手紙を盗んでほしいと依頼してくる話、 ヨーク大司教の甥を名乗る人間がもう一人でてくる話、などなど。 内容が濃いため、全部を説明するのは難しいくらいです。
引き続きリチャードとギルフォードの活躍を書いたものです。
激しいテンポの作品ではないのですが、噂を流したり、人脈を使って手伝って小細工したりなど、積極的に事件を解決に導いています。 リチャードの頭の良さと、行動力はすごく好きになれました。
誰が敵かわからない状態から始まり、おかしなことに気づいて、調査をしていきます。 「推理」とは異なるのですが物語を少しずつ解いていく話です。 リチャードが問題を調べながらひとつひとつ手を手を打っていくのは、カッコイイと思います。
謎の貴族や、ヨーク大司教など、うまく世界観を使った物語作りなので、すごく面白いです。
以上のようなことがあり、 この話は「設定」だけでなく「話の流れ」なんかがレベルが高く、特定のシーンで盛り上がるのではなく、物語を通してレベルが高く感じます。
文字が多いはずなのに、展開がスムーズで読みやすいです。 結末はもちろん満足です。
私の評価は、「かなり高い評価」です。
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★★★
一角獣は聖夜に眠る―足のない獅子
著者: 駒崎 優
ISBN: 4062554119
発売年月: 1999/06
本体価格:¥ 557
amazon 紀伊國屋 JBOOK
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内容説明
毎年シェフィールドの町にクリスマスワインを売りにやってくる商人が、死体で発見された。 奪われたワインを取り戻そうとリチャードとギルフォードは犯人探しを決意する。
感想
シリーズ3巻目です。
商人を殺害した犯人を捜す話と同時に、 執行長官の娘が二人の家にやってくる話があります。 彼女は私生児を嫌い、リチャードを嫌っています。
前巻とちがって、リチャードの活躍がありませんでした。 最後に犯人を言い当てますが、そこにいたるまでの頭脳戦が無かったのが残念です。 犯人探しをしながら情報を少しずつ集めます。 そこから一発で犯人を言い当てて終わりです。 そこに至るまでに小細工や駆け引きをやってほしかったです。
それともうひとつ、修道院で生活してきた女の子と打ち解ける話があります。 しかし、ほとんどメインの殺人話と関係がありません。 1、2巻のように複数の話が絡み合っていく展開ではありませんでした。
二人の活躍は少なかったですが、発言などにはカッコいいものがありました。 二人のかっこよさを見せる巻としては十分だったと思いますが…。
よみやすくハッピーエンドですが、 前巻と比べるとイマイチです。
私の評価は、「平均レベルくらい」です。
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★★★
火蜥蜴(サラマンダー)の生まれる日―足のない獅子
著者: 駒崎 優
ISBN: 4062554348
発売年月: 1999/10
本体価格:¥ 578
amazon 紀伊國屋 JBOOK
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内容説明
リチャードとギルフォードは執行長官に呼び出され、彼の依頼を受けることになった。 その依頼とは、錬金術にのめりこんだ貴族の青年の目を覚まさせて欲しいと言うものだった。
感想
シリーズ4巻目です。
今回は事件が起こるのでありません。 貴族の青年が錬金術にのめりこんでいるのですが、彼は周りの説得に耳をかしません。 そのためリチャードは一度痛い目をみさせて、やめさせようとします。 司祭のジョナサンに錬金術師のフリをしてもらい、彼を騙すことになります。
いままでと違って「謎解き」みたいなのがありません。 貴族の青年を騙すために町の人間を使い、一芝居打つといった形です。 青年を騙すための協力者たち全員に指示をだすので、 それなりにリチャードの知恵がでてくるのですが、 あまりカッコイイとは思えませんでした。 やっぱり「謎解き」や「駆け引き」といった要素がほしかったです。
「従騎士の2人と、協力をしてくれる町の人たち」という展開は、良い雰囲気だと思いますが、1,2巻などと比べると、リチャードとギルフォードの活躍が少ないです。
相変わらず、よみやすい作品です。 「青年を騙す」とありますが、不快な話ではありません。 明るい話です。
私の評価は、「平均レベルくらい」です。
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★★★★★
豊穣の角―足のない獅子
著者: 駒崎 優
ISBN: 4062554569
発売年月: 2000/02
本体価格:¥ 536
amazon 紀伊國屋 JBOOK
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内容説明
ブラッドフィールドの館で親戚の赤ん坊を預かることになった。 そこへ捨て子や隠し子だという赤ん坊が加わり、3人の赤ん坊で大騒動。
そんな館に侵入者が現れた。
「赤ん坊の誰かを殺そうとしたらしい」
赤ん坊を狙う人物や、母親だと名乗る人物が現れ、館はさらに騒がしくなっていく。
感想
シリーズ5巻目。 久しぶりに大事件の話です。 3人の赤ん坊のうちの誰かが狙われています。 そのうちの一人が貴族の息子だと推測し、事件を調べていきます。 さらに、隣のあくどい領主が再び登場し、 複雑になっていきます。
3人の赤ん坊が刺客に狙われるのですが、誰が狙われているのかわかりません。 さらに途中で本格的な戦いがあり、ギルフォードも一時行方不明になります…。
ギルフォードの戦闘と、リチャードの捜索や調査がかなり緊迫したものとなり、ずっと面白い場面が続きます。
今回は、比較的に受け身の状態ですが、 剣と頭脳の活躍は、2人にふさわしいもので、かっこよかったと思います。
何人もの登場人物が現れ複雑な状況になるのですが、最終的に赤ん坊を狙う貴族を捜し当て、直接対決をすることになります。 赤ん坊が3人とも幸せになる結末です。
読みやすさ、ストーリーなど全体的なレベルの高さが感じられます。
このシリーズは、設定がしっかりしていて、明るくわかりやす話なので、 雰囲気がとても好きです。 シリーズを通して好感を持っているので、評価を高めに考えています。
私の評価は、「高めの評価」です。
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★★★
麦の穂を胸に抱き―足のない獅子
著者: 駒崎 優
ISBN: 4062554798
発売年月: 2000/06
本体価格:¥ 546
amazon 紀伊國屋 JBOOK
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内容説明
英国国王は、ウェールズ侵攻するために家臣を召集した。 その軍のなかにギルフォードとリチャードも居た。 ところが彼らを待ち受けていたのは、不可解な殺人事件だった。
感想
今回は、戦地での話です。
従騎士である2人は国王の命で戦地を訪れていますが、 戦力差が大きいため戦いはほとんど起こっていません。 そのため野営地で暇をしているのですが、 そこで殺人事件がおこります。
作者曰く、本格的な歴史小説だそうです。 実際にあった戦いをモデルにしています。 多少は興味ありましたが、高評価をつけるほどではありません。 私としては2人の活躍を期待していたのですが、 今回はイマイチでした。 最後にリチャードが犯人を暴くのですが、 それまでは、ただ森を散歩したりなど、活躍がありません。
戦地ということで、いままでのように事件解決に協力してくれる人たちも居ないため、二人の行動力も小さくなってしまい、単純な話になっています。
最後に犯人を言い当てたのも、多少無理やりな気がします。 今回は、イングランドとウェールズの騎士を題材にした話として、2人の活躍は期待しないほうがいいです。
読みやすいですし、期待とは違いましたが、大好きなシリーズの時代話が理解できたので、そこそこ興味のある話ではありました。
私の評価は、「平均レベルくらい」です。
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★★★★
狼と銀の羊―足のない獅子
著者: 駒崎 優
ISBN: 4062555077
発売年月: 2000/10
本体価格:¥ 609
amazon 紀伊國屋 JBOOK
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内容説明
リチャードの所に父親を探してほしいと言う少年がやってきた。 その父親が遺産目当てで行方不明になったのなら、少年も狙われるかもしれないとリチャードは考えた。
「取引といこうじゃないか」
その結果、兄の不祥事によって教会内で立場があやうくなっていたジョナサンと取引をすることになった。 少年を保護してもらう代わりに、リチャードはジョナサンの疑惑を解決することになる。
感想
シリーズ7巻目です。 行方不明の騎士を探す話と、ジョナサンの兄の盗賊疑惑を解決する話です。 2つの事件は途中で一つになります。 やはりリチャードの手腕によって事件が判明してくる話です。 推理物とは違うのですが、少しだけそんな雰囲気を持っています。
ちょっと複雑な話ですが、 結論から言えば、教会内での地位争いに巻き込まれるという話に収束します。
前半は事件が語られるだけですが、途中でヨークに舞台を移し、地位の高い司祭達の中で行動することになります。 そんな中でもリチャードは情報を集め、最後に審議の場ですべてを解決します。 私の期待通りの活躍でした。 ただ、行方不明だった騎士の話がイマイチです。 全然関係ないところから出てきて、びっくりしました。 「ええー、そんなオチなのか…」という感じです。
一部不満があったものの、なかなか手の込んだ話だと思います。 相変わらずリチャードが話を読み解いていくのは面白いです。
私の評価は、「高めの評価」です
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★★★
開かれぬ鍵 抜かれぬ剣〈上〉足のない獅子
著者: 駒崎 優
ISBN: 4062555301
発売年月: 2001/03
本体価格:¥ 557
amazon 紀伊國屋 JBOOK
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★★★
開かれぬ鍵 抜かれぬ剣〈下〉足のない獅子
著者: 駒崎 優
ISBN: 4062555425
発売年月: 2001/04
本体価格:¥ 557
amazon 紀伊國屋 JBOOK
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内容説明
ストックスブリッジのベインズが突然の侵略を行った。 シェフィールドの執行長官は拉致されて、町は混乱状態に。 そんなときコーンウォール伯がやってきた。 国王の従兄弟である彼は、リチャードの兄かもしれない…。 もしリチャードの噂を知られると、争いの火種だとして殺されてしまうかもしれない。 しかしコーンウォール伯から告げられた一言
「さて、生き別れだった兄に、何かいいたいことはないのか、リチャード?」
混乱のシェフィールド、逃げ場のないリチャード、彼はこの絶望的な状況を乗り切ることができるのか
感想
シリーズ第一部完結編です。 予想もしなかった急展開です。 以下は完全なネタバレです。
いままでの話を整理すると、リチャードの父親は誰だかわからないのだが、王家の血筋だと噂されている。 そのリチャードは従騎士として困った人を助けながら、いなか町で暮らしている。 というものでした。 私はこのまま「読みきりの形式」で「人助け」の話がずっと続くのだと思っていましが、 すごっい展開を迎えました。
いままで話の舞台だったところで、いきなりの戦い!。 そしてその裁決をしにやってきたコーンウォール伯が、リチャードを弟だと認めます。 そんな驚きの展開さえも話の一部でしかなく、 コーンウォール伯の暗殺話がでてきたり、 ローマ教皇の代理を名乗る男があらわれたり…。 そして最後には決闘がおこなわれます。
たくさんの登場人物がいるのに、全部の話が感動的な展開になります。 説明しきれませんが、ひとつひとつの話がナイガシロにされずにうまく進みます。 全体的にレベルが高いのに、さらに見せ場もちゃんとあってすばらしいです。
一応悪い点を言わせてもらえば、 いくつかの話が混じっているので、話の場面が何回も切り替わります。 ちゃんと話がわかっていて読んでいれば問題ないと思いますが、このシリーズをちゃんと読んできていない人は面白くないかもしれません。 いままでの登場人物の説明もありますが、この本だけを読むのは薦めません。
まだこの新シリーズで続くようですが、以下にここまでの感想。
このシリーズは、ところどころで説明文が多めになったりするのですが、かなり読みやすいです。 その理由をうまく説明できないのですが、 風景の話とか、頭で想像しにくい説明がないからかな? とにかく何故か読みやすいです。
現実のイギリスを舞台としていますが、戦いがメインではなく、2人が町の事件を解決していくという話です。 これなら男性・女性ともに2人がかっこいいと思えるに違いありません。 そして話も良く考えてあります。 2つの事件が起こったように思えて、それらが繋がっていきます。 明るい雰囲気をもった推理話といったところです。 ストーリー展開は高評価しています。 シリーズ9冊の中には好きになれない話もありましたが、 最後は大満足しました。
とりあえず最初の2冊くらいを読んで、二人がカッコイイと思えたなら続きを読めばいいと思います。
私の評価は、「かなり高い評価」です。
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★★★★
晴れやかな午後の光―足のない獅子
著者: 駒崎 優
ISBN: 406255562X
発売年月: 2001/10
本体価格:¥ 620
amazon 紀伊國屋 JBOOK
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内容説明
4つの短編話です。 ギルフォードの父ハロルドが母キャサリンと出合ったときの話、 聖職者を目指す少年ジョナサンの実家でおこった事件、 14歳のリチャードとギルフォードがアリア像を盗み出す話、 ガイがスリを始める話。
感想
シリーズの外伝話です。 外伝ですが、ただの語り話ではなく、それぞれ事件が発生し、解決していく話です。
短編話でギャグでなく、質が高いものはめずらしいです。 ちゃんと問題が発生し、解決することになります。 4つとも登場人物が変わっているのですが、それぞれの性格が出ている話です。 1話目はおとなしいキャサリンの話で、2話目は少年時代から陰謀が好きなジョナサン、3話目は悪ガキのリチャードとギルフォード、 4話目は無邪気なスリ見習いガイ、 がそれぞれ話のメイン人物です。 いままでとは異なりリチャードとギルフォードがかっこいい話ではありませんが、高評価です。
いままでとは時代が違う話のため、見知らぬ登場人物が多いです。 読みにくいとは全然思いませんが、いままでのシリーズを読んでいなくて、 主な登場人物がわかっていないと、この裏話は面白くないと思います。
私の評価は、「高い評価」です。
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★★★
黄金の拍車
著者: 駒崎 優
ISBN: 4062556235
発売年月: 2002/07
本体価格:¥ 578
amazon 紀伊國屋 JBOOK
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内容説明
ストックスブリッジの城主になったリチャード、 やってきた当日に城を案内したもらったのだが、地下牢から白骨死体が見つかった。 同じ日、行方不明の夫を探しているという女がやってきたのだが、 夜中に悲鳴が聞こえた後に行方がわからなくなった。 着任早々この騒動にリチャードは振り回されることに…。
感想
リチャードとギルフォードの新シリーズです。
主人公の一人であるリチャードが、新しく自分のものになった城に行く話です ギルフォードも手伝いにやってきます。
リチャードが城主になったことはいままでのシリーズを読んできた人には、嬉しい話に違いありません。 私も新鮮な気分で序盤の説明は読めました。 しかし話し全体としては低い評価をしています。 この話は謎が多すぎです。 私としては、謎を少しずつ解いていくのが好きなのですが、終盤まで謎が増え続け、いっきに解決するようになっています。 結局、探していた人物がすでに知っている人間だったり、 同じ人物だと思っていたのに別人だったり・・・。
話をバラシテしまうと、城の中に宝があるという噂を聞きつけた複数の人間が、城に入り込んでいると言う話でしたが、あまり面白くないです。 知的な駆け引きもありません。 しかし前半部分のリチャードが使用人たちに命令していく場面は好感を持ってます。
文章での説明が長いのですが、やはりこのシリーズは読みやすいです。 しかし今までのシリーズよりも謎が複雑なため途中でついれこれなくなるかも…。
私の評価は、「平均レベルくらい」です。
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★★★
白い矢―黄金の拍車
著者: 駒崎 優
ISBN: 4062556537
発売年月: 2002/12
本体価格:¥ 578
amazon 紀伊國屋 JBOOK
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内容説明
コーンウォール伯から馬上槍試合への招待状を受け取ったリチャードとギルフォード、 城壁の上から試合を見物することにしたのだが、貴賓席に一本の矢がはなたれた、 矢は城壁の上から打たれたとの予測から騒動に巻き込まれる2人、 コーンウォール伯のためにも事件の犯人を探すことになるのだが・・・。
感想
リンカーンでの馬上槍試合を見に行く話です。
権力あらそいが背景にある話です。 お互いに罪を着せあおうと、大勢が裏で行動しています。 それを調査して、矢を放った人物を見つけなければいけません。
物語序盤で新しい人物が登場しすぎ! いっきに10人ぐらい増えてしまいます。 しかもコーンウォール伯とウェイドとその奥方達以外の人たちは、全員隠し事や、陰謀をもっています。 最終的には「良い人」「利用されていた人」「陰謀を持った人」がそれぞれ4人くらいずつになります。 しかし終盤までそれがわかりません。 これは辛いです。 名前もよく覚えていない人に、あやしい行動されても…。
馬上槍試合の話もイマイチでした。 歴史を調べて書いた本らしいですが、それよりもリチャードとギルフォードの活躍が欲しかったです。 ただ事件にまきこまれて、走り回っているだけ?
とにかく登場人物が多い話でした。 シリーズのなかで一番読みにくいです。 しかも人が多すぎるため、一人一人の思惑や陰謀が盛り上がらずに終わっています。
私の評価は、「平均レベルくらい」です。
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★★★★
針は何処に―黄金の拍車
著者: 駒崎 優
ISBN: 4062556782
発売年月: 2003/07
本体価格:¥ 546
amazon 紀伊國屋 JBOOK
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内容説明
ある日リチャードは、3人のならず者に襲われていた騎士を助けた。 自ら「怪しい者で、名前も名乗れない」と言った騎士は、傷の手当をして翌日旅立っていった。 しかしこれが事件のはじまりだった。 トビーが行方不明になり、謎の騎士が関わっているかもしれないと判明するのだった。
感想
謎の騎士と3人のならず者がトラブルを持ち込んでくる話です。 この事件に巻き込まれたトビーが行方不明になります。 事件を探っていくのですが、 いままで協力的だったジョナサン司祭や執行長官ヒューバートが隠し事をして、なかなか真相にたどり着けません。
この話だけでなく、このシリーズについてのコメントですが、 初期のころ、リチャードは助けを求める人のため、人には言えないような手段を使っていました。 しかし最近は領主になったためか、無難な行動が多く、事件に振り回されて走りまわっていることが多いです。
ただ、昔より事件が複雑になっていき、それはそれで楽しいと思えるようになってきました。 当初思っていた方向ではありませんが、町のため・人のために事件の真相を探ってくという話は、下手な「殺人事件の推理小説」よりもライトノベルらしくて読みやすいと思います。
悪いところを言わせてもらえば、毎回かかれている人物説明を読むのが飽きてきました。 さすがに10巻を超えたら必要ないのではないでしょうか?
昔は、リチャードのかっこいい姿を見るために読んでいましたが、いまは殺人事件の小説のように、事件の真相がわかるのが面白いです。 はっきり言わせてもらえば、私の心の中ではリチャードとギルフォードの評価は「下げ」です。 いままで付き合った二人の行く末を見たいですが、長いシリーズで飽きてきたこともあり、カッコイイと思えることは期待していません。
このシリーズを読んでいる人にはわかると思いますが、今までどおり事件が発生して、リチャードとギルフォードが馬で駆け回り、最終的に事件を解決するという話です。 今回は最初から最後まで「行方不明のトビーを見つける」という話で進むので、それほど複雑な話ではないのですが、口の堅い人が多く、謎の騎士の情報が手に入らないために苦戦することになります。
私の評価は、「平均より少し上」です。
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★★★
花嫁の立つ場所―黄金の拍車
著者: 駒崎 優
ISBN: 406255710X
発売年月: 2004/02
本体価格:¥ 609
amazon 紀伊國屋 JBOOK
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内容説明
新しく出合った二人の人物が怪しい行動をはじめた。
一人は「赤い鹿亭」で働き始めた女。 女の過去には秘密があるようで、ある日突然に行方不明になる。
もう一人はリチャードの館で働きはじめたオーソン。ある日彼に盗難の疑惑がかかった、無実を主張するオーソンだが、突然剣を持って行方不明になる。
感想
今回事件を持ち込んでくるのは、 「赤い鹿亭」で働き出した謎の女と、リチャードの城で働きだした「書記」の2人です。 女は何かにおびえているのですが、何も話しません。 書記は毎日遅くまで外出するのですが、そのことを話しません。 二人の行動には、別の土地での強盗事件と、殺人事件の話が関わってきています。
別の土地で起こった悲しい事件が語られる話ですが、かなり暗い話ですし、さらにシェフィールドでも人が死んだりして…。 かなり複雑で明るいとは言えない展開です。 このシリーズにしては珍しいと思います。
この話は、最後の最後まで事件関係者の人間関係がわかりません。 裏には別の土地での事件がかかわっているのですが、それは事件が解決した後に語られるので、本当に最後まで話の全体像が分からない仕組みになっています。 人間関係を理解しないまま読むのが辛いかも…。
悲しい過去の話が出てきますが、結果的にハッピーエンドになりました。 最後にはちょっと良い話もあります。
私の評価は、「平均より少し上」です。
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