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★★
雪月の花嫁
著者: 樹川 さとみ
ISBN: 4086118033
発売年月: 1993/12
本体価格:¥ 530
amazon 紀伊國屋 JBOOK
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内容説明
父と離れ、辺境の島で育った少女フェリアナ。
しかし17歳になった彼女は、政略結婚のために父親に呼び寄せられる。
「本日からよろしくお願いいたします」
さっそく結婚相手のカイオンの館に住むことになるのだが…。
感想
辺境で育った少女が、淑女のフリをして政略結婚をする話です。
序盤に少しだけ、父親に呼ばれ、社交界にデビューする話があります。 そのあと前半で、結婚の話と新しい館での話、 後半に、フェリアナと夜を過ごさないカイオンの過去の話と、カイオンの領地が狙われ戦いになる話があります。
いろいろあるのですが、結局は恋愛話です。 最終的に政略結婚だった二人が愛し合うようなります。
しかし、ラストシーン以外は二人の会話も少なく、面白い場面がありません。 中盤では、館での新しい生活の話や、舞踏会の話が続き、脇役の王子や詩人などが思いのほか長く登場しています。 話に無関係ではないのですが、あまり重要でもない人物達です。
こう考えると、ラストシーン以外は何がやりたかったのか良く分からないです。 最後を無理やりハッピーエンドの恋愛話にしただけと言った感じです。 笑い、感動、興奮など、何がやりたかったのか判りません。 しかも途中には、カイオンの元婚約者の「浮気」や「死因の謎」など、あまり明るくない要素があります。
恋愛話をやるなら、もっと熱くやればよかったと思います。 現実っぽい恋愛話ではありますが、ライトノベルらしくないです。 表紙の画像は綺麗なので好きですが…。
私の評価は、「平均より少し上」です。
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★★★★
太陽の石 月の石
著者: 樹川 さとみ
ISBN: 4086140799
発売年月: 1995/06
本体価格:¥ 560
amazon 紀伊國屋 JBOOK
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内容説明
山育ちのディアラは族長の娘として、結婚もせずに17歳になっていた。
「おまえが18になるまでの半年間。 そのあいだに自力で男をつかまえてこい」
結婚を許さない父親が、半年間だけ猶予を出した。
ただし、都へ行き勘当されていた祖父の家に住むのが条件なのだが…。
感想
剣術の達人ディアラの活躍を描いた作品です。
前半は、都に行くまでの話と、祖父と仲直りをしようとする話。 後半は、都で連続殺人事件が起こりだして、その犯人を捕まえようとする話です。
最初は結婚相手を探す話だったのに、祖父との仲直りの話になり、最後は都を守る話になっていました。 まあ、かっこいいディアラの活躍と言う点では話は繋がっています。
メインは都を守る話です。 犯人の調査をするディアラの前に怪しい男が現れて、親しくなるのですが、この男の正体が…。 という展開です。
最終的に殺人事件を裏で操っていた権力者を倒します。 単純な話なのですが、余談が多く混じっているため、350ページを超える一冊になっています。
表紙のイラストは顔が変なのですが、文中のイラストでは「ドレスを着たディアラ」「剣を構えたディアラ」などがあるので、彼女の活躍は盛り上がると思います。
ストーリー性の弱い作品でしたが、かっこいい女性が主人公なので楽しめました。 読みやすくてハッピーエンドです。
私の評価は、「平均より少し上」です。
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★★★★★
楽園の魔女たち―賢者からの手紙
著者: 樹川 さとみ
ISBN: 4086141531
発売年月: 1995/12
本体価格:¥ 590
amazon 紀伊國屋 JBOOK
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内容説明
『魔術師見習い大募集!』
いままで弟子をもったことのない公認魔術師エイザードの呼びかけに集ったのは、個性豊かな4人の少女。 すべての学問の秀でたサラ、 プライドの高い帝国の姫君ダナティア、 すばらしい剣の腕前をもつファリス、 想像力豊かなお子様マリア。
こんな4人の修行が虹の谷”楽園”ではじまった。
感想
魔術がでてくる学園コメディーもの、といった感じです。 それぞれ問題をかかえている4人が仲良くなっていく流れです。 前半は魔術師の修行のはじまりの話、 中盤にダナティアとマリアが抱えている問題の話が少しでてきて、 後半は魔術師の初級試験に挑みます。
登場人物それぞれは笑いを取るような性格ではありませんが、 4人が集まると面白い話になります。 最初は”楽園”での生活を書いただけなのに、 4人の個性のせいで、 それだけで楽しかったです。 4人というのがいいですね、あまり大人数で友情話にもっていかれても笑えないですが、 女の子4人だと”面白く打ち解ける”というのが好感がもてます。 特にプリンセス・ダナティアが3人に調子を崩されながら打ち解けていくのが大好きです。 最初は気高い感じですが、最後は残りの3人にツッコミをする立場になってます。
4人は魔術が全然つかえない状態から始まりますが、 後半の初級試験ではある程度つかっています。 この成長するという話も好きです。 試験に関しては、試験問題がいじわるだったために、4人も工夫をして切り抜けます。
話を通してハッピーストーリーです。 これは面白いでしょう。
私の評価は、「高い評価」です。
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★★★
楽園の魔女たち―とんでもない宝物
著者: 樹川 さとみ
ISBN: 4086141930
発売年月: 1996/05
本体価格:¥ 560
amazon 紀伊國屋 JBOOK
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内容説明
「時間がないのです」
エイザードに助けを求めて、とある国の王子様がやってきた。 依頼の内容は、敵の国に囚われた父親を助けてほしいということ。 国境で宝が眠っているという話がもちあがったことで戦いが始まろうとしているらしい。
エイザードは弟子達にやらせるということで依頼を引き受けることにした。
感想
シリーズ第2巻です。
サラの元・学生仲間がたずねてくる短編話があり、その後、助けを求めて来た王子の依頼のために戦場にかけつける話があります。 王様を助け出す一方で、戦争がおこらないように策を講じます。
魔法とありますが、激しい戦闘がある話ではありません。 魔術師見習いたちが依頼を達成するために、魔法を使うという話です。 4人が策を講じて行動を起こしていくのがメインです。 「魔法はできるだけ使わない」といった考えがこの世界にはあるようです。
今回は2話ありますが、両方サラが中心の話です。 珍しい話ではないのですが、引き続き登場人物たちの会話のやりとりが面白いです。
しかし1巻に比べ評価をさげました。 後半にサラが要塞のなかで、逃げ回ったり大きな魔法を使わせたりするのですが、要塞がどのような形をしているのか分からないので、状況がイメージしにくいです。 要塞を”カニのように変形”する魔法といわれても…。 塔などの位置関係がわからないので辛いです。
また、ときどき意味深な会話をしているのですが、私が理解できていないのでしょうか?、なにか違和感を感じるものがありました。 部分的に分かりにくいです。
こうやって悪いところを上げていくと、ストーリーは平凡だなと思ってしまいます。 魔術師見習い4人の個性は好感が持てますし、それぞれの行動も性格にあったもので、雰囲気はいいのですが、 ストーリーがイマイチでした。
気になる点はありましたが、よみやすい作品ではあります。 オチも一部理解できていませんが、いい終わりだと思います。
私の評価は、「平均レベルくらい」です。
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★★
楽園の魔女たち―七日間だけの恋人
著者: 樹川 さとみ
ISBN: 4086142325
発売年月: 1996/09
本体価格:¥ 530
amazon 紀伊國屋 JBOOK
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内容説明
ファリスの弟・アルケイドが楽園にやってきた。 楽園で腹痛を訴えたアルケイドが姉に頼んだのは、自分の代わりにアルフォイ家を訪問してほしいとのことだった。 アルフォイ家との待ち合わせの港に魔法で移動したファリスが出合ったのはフレイと名乗る青年。
「ぼくと婚約してくれないか」
お人よしのファリスはフレイと突然婚約することになってしまった。
感想
シリーズ第3冊目はファリスの話です。 アルケイドの代わりにアルフォイ家を訪ねるという仕事をやらされたファリスは、そこでフレイと出会うことになります。 ファリスの受難を書いた作品? それとも不器用なファリスの恋愛話なのかな? ファリスが周りに振り回される事件を書いたものです。
話の展開ですが、最初は弟が楽園を尋ねてきて、次に婚約者ができる話になり、ラストシーンで父親と仲直りします。 無理やり話をつなげている感じがしました。 ファリスの問題を全部出したかったのか? うーん、いちおう「ファリス繋がり」している話ですが、違和感を感じる流れです。 さらにさらに、今回の話の中心にいるフレイですが、実は男色家です。 ……。
それにしても魔法の話が遠くなりました。 少し使っていましたが無理やり魔法の出番を作ったという感じです。 一巻で感じた「学園もの」といった雰囲気もありません。 ファリスというキャラクターのよさは光っていたと思いますが、良い点はそれだけです。 ファリスのファンなら好きになれる作品かもしれませんが…。
ハッピーエンド? 最後はいつもの生活に戻っただけです。
ファリスの行動や考えを中心にした話で、とても読みやすいとは思いましたが…。
私の評価は、「平均より下」です。
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★★★
死神見習い修行中!
著者: 樹川 さとみ
ISBN: 4044458014
発売年月: 2001/10
本体価格:¥ 480
amazon 紀伊國屋 JBOOK
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内容説明
おじの借金の返済のために身売りをされてしまった少年・フィン。
「世間ではわたしのことを死神と呼ぶが」
売り飛ばされた相手は死神。 そしてフィンは死神見習いとして働くことになる。
そこに死神になりたいという少女・マーリがあわれてフィンをライバル視するが…。
感想
読みきり話です。
死神見習いとして、魂を導くのですが、知り合いが死ぬことになったり、子鬼に襲われたりなど、試練があります。 見習いが終わった後、死神になるための最終試験を受けることになります。
死神見習いの話ですが、少年少女が努力をする良い話です。
死神の屋敷は、時間の流れが異なり、部屋の位置も毎回変わると言う不思議な世界です。 完全なファンタジーです。
世界観の説明が多くあるため、屋敷内での話が長く、死神の仕事は単純で長くないのですが、面白い世界観だったので日常会話でもまったく退屈しませんでした。 『死ぬこと』にかんする真面目な会話もあります。 雰囲気は悪くないと思います。
しかしラストシーンがドタバタしました。 盛り上がった所でいきなり話が中断します。 そして大人になったフィンが、友人と過去を語るという展開で、その後の話を説明してくれます。 私としては、ちょっと気持ちが冷めました。
フィンとマーリの恋愛話も少しあるのですが、マーリに関しては語ってくれないので、結末はわかりません。 そこは重要だと思うのですが…。
面白い世界観だと思うのですが、どうでもいい話が長かったり、メインのストーリーの説明が簡単すぎたり…。 もったいない作品だと思います。
私の評価は、「平均より少し上」です。
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★★★★★
ブラインド・エスケープ
著者: 樹川 さとみ
ISBN: 4829161906
発売年月: 2002/12
本体価格:¥ 630
amazon 紀伊國屋 JBOOK
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内容説明
「声をたてるな。ひとこともだ」
突然、誘拐されてしまったお嬢様・青野由貴。 しかし誘拐犯・高嶋要の目的は金ではなかった。
「オレがお前を守る」
いま二人の逃避行が始まる…。
感想
二人の逃亡物語です。
友人を人質に取られ、さらに爆弾を持たされた要は、犯人の指示により由貴を守るというゲームを強要させられています。
事情を知らない由貴は要から逃げ出そうとします。 しかし自分が狙われていると知った後は、要といっしょに逃亡を続けることになります。
かっこいい話です。 要は誘拐犯とされ警察から狙われながらも、関係ない人が巻き込まれそうなときは助けながら行動しています。
由貴も最初はお嬢様風なのですが、裏にある事情を知った後は逃げるために自分の髪を切ったり、身代金を要求する芝居をしたり…。
男女二人の逃亡劇というのは、映画なんかでありそうな話ですが、それでもかなりの感動がありました。
ちょっと不満を言えば、最後の対決がそれほど盛り上がらなかったような気がしますし、 中盤で二人が打ち解け、さらに恋愛話も盛り上がったのに、最後はほのぼのとした雰囲気で終わりました。 熱い逃亡劇をやったのだから『熱い結末』を期待したのですが…。
最初から最後まで無駄の無い作品でした。 いきなり逃亡場面からはじまったため序盤から楽しめます。
部分的に不満もあるのですが、全体としては最高でした。 読みやすくハッピーエンドです。
私の評価は、「かなり高い評価」です。
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