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★★★★★
なりゆきまかせの異邦人(ストレンジャー)―日帰りクエスト
著者: 神坂 一
ISBN: 4044146012
発売年月: 1993/02
本体価格:¥ 504
amazon 紀伊國屋 JBOOK
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内容説明
「いきなり異世界に呼ばれるなんてシチュエーション、今日びのマンガや小説じゃあ、それこそゴロゴロしてるのよっ!」
「 きっとこの世界は戦乱の世の中で、 どーしーようもなくなった弱小軍団が、 別の世界から英雄か何かを呼ぼうなんて、他力本願なこと考えて、魔導師にあたしを召喚させたに違いないわっ!」
感想
シリーズ1巻目です。
上に書いた内容説明は、最初の2〜3ページ目に書かれているセリフです。 異世界で目が覚めたヒロイン・エリが、ずばり言い当てています。
テンションが高いだけの女子高生エリは、 その後、役に立たないにも関わらず、観光するために毎週末に異世界にやってくるのですが、 戦いに巻き込まれて元の世界に帰れなくなってしまいます。
女子高生が異世界に飛ばされると言う話は数多くありますが、召喚されてすぐに大声で喜んでいるというのは始めての展開です。
ギャグ話というわけではなく、真面目に戦いをやる話です。 名もない兵士は数多く死んでいるはずですが、 主人公エリが能天気で明るい性格だと言うことと、セリフや改行が多く、文字が少なめなことから、シリアスな感じはありません。
世界観のレベルも高いと思いますが、エリの存在が一番大きいと思います。 女子高生という設定も軽い感じで良いと思います。
最終的に、敵の塔に攻め込み、元の世界に戻るための道具を奪い取る話になります。
かなり読みやすく、どんな人にでもおススメします。 ただこの本はえらく薄い…。 あとがきを入れてやっと200ページ超えます。
私の評価は、「かなり高い評価」です。
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★★★★★
日帰りクエスト〈2〉困ったもんだの囚われ人(プリズナー)
著者: 神坂 一
ISBN: 4044146020
発売年月: 1993/08
本体価格:¥ 525
amazon 紀伊國屋 JBOOK
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内容説明
夏休みを異世界で過ごすことにしたエリ。 しかし異世界にやってきてすぐに王子・クルーガーと共に奴隷狩りに捕まってしまう。
「本日の商品は、メスが一匹に、オスが一匹。 …まあ、このメスのほうはおまけのようなものですが…」
奴隷として大安売りされてしまうエリ。 はたして夏休みが終わる前に脱出することができるのか?
感想
シリーズ2巻目です。
説明していませんでしたが、敵は「竜人」という爬虫類のような種族です。 物語の前半は、その竜人の住む町で、エリと人間の王子・クルーガーが奴隷生活をする話があり、 後半は、町を抜け出すために町中の奴隷を扇動する話があります。
奴隷として売られる2人ですが、エリは変わり者の竜人・ラーディーに買われ、平和に過ごしています。(奴隷なんですが…)。 王子の方は、性格の悪い竜人に買われて、苦しんでいます。 この辺は面白い展開ですね、奴隷になっても能天気に行動しているエリです。
後半は、まじめな戦いです。 1巻でエリにやられた竜人の魔術師・ベヅァーが、復讐をするためにやってきます。 エリは大騒ぎしながら逃げ回り、運よく倒すことになります。 緊張感のある場面なのに、大騒ぎするエリのおかげで明るい感じがします。
「人間と竜人は仲良くなれないか?」 と考えるシーンもあり、 まじめと能天気のギャップが最高です。
読みやすく、それなりにハッピーエンドです。 今後、竜人との戦いがどうなるか?というところです。
私の評価は、「かなり高い評価」です。
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★★★★
日帰りクエスト〈3〉見物気分の旅行人(トラベラー)
著者: 神坂 一
ISBN: 4044146039
発売年月: 1994/04
本体価格:¥ 567
amazon 紀伊國屋 JBOOK
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内容説明
「援軍の指揮、このベヅァーにお任せを」
2度もエリに倒された竜人の魔術師・ベヅァーが援軍をつれてやってきた。 無差別攻撃で人間の町を襲っていくベヅァー。 これに対して再び戦いを決意させられるエリ達だが…。
感想
シリーズ3巻目。
1,2巻目はエリの存在により、おそろしく軽い雰囲気になっていたんですが。 今回は敵役の竜人ベヅァーの復讐が前面にでてきます。
前半は、登場人物達の日常会話があり、 中盤からベヅァーの人間を襲う話があり、 後半は人間と竜人の戦いです。
ベヅァーの復讐を描いた作品になってます。 エリの話もありますが、ほとんどが町での日常会話で、能天気行動が見られません。
敵役ベヅァーですが、ここにきて好感がもてる気がしてきました。 人間に対する復讐にも関わらず、 ベヅァー心理描写が多く、努力や執念が感じられ、さらに狂気をもっていても冷静な判断力は失っていない、 ことなどから彼に対して期待してしまう気持ちがありました。
以上のことから、物語全体に陰謀や戦いの印象がでてきました。
最後は、再びエリとベヅァーが対決することになります。 しかし盛り上がるシーンではないと思います。 そこに至るまでのベヅァーの狂気のほうがインパクトが大きいです。
読みやすさは残っていますが、シリアスな感じが入っています。
私の評価は、「高い評価」です。
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★★★★★
間違いだらけの仲裁人(メディエター)―日帰りクエスト〈4〉
著者: 神坂 一
ISBN: 4044146047
発売年月: 1995/03
本体価格:¥ 525
amazon 紀伊國屋 JBOOK
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内容説明
互いに消耗した人間と竜人は、とうとう休戦の話が持ち上がった。 そして休戦の話し合いの場にエリが呼ばれることになる。
「休戦をすれば、竜人としての誇りを失うのだ。永遠に」
しかし、ベヅァーが人間と竜人が休戦を妨害しようと、 再びエリの前に立ちはだかる…。
感想
シリーズ最終巻です。
もう主人公はベヅァーになった感じです。 休戦の話し合いをしていく人間と竜人ですが、それを妨害しようとベヅァーが執念を燃やします。
話のほどんどが、休戦へ向けての準備です。 最後に、話し合いの場での戦いになります。
1巻で感じた「明るく」「気楽」な雰囲気は消えて、ベヅァーの執念に感心する話になってしまいました。
軽い話ではないのですが、読みやすさも残っていますし、 登場人物たち全員の思いがわかりやすいので、 心に伝わるものがあると思います。
シリーズ4巻の感想ですが、
最初はお気楽なエリが面白い話だったのに、 途中から竜人の考えも細かく描写され、竜人の気持ちまで理解できるようになりました。
というのも、すべての話が読みやすく、登場人物の考えがシンプルなので、 それぞれの人物に「共感」できる雰囲気があります。 よくよく考えたら悪い奴も混じっているのですが、 共感がもてることから不快感が全然感じられない話になっています。
私の評価は、「高い評価」です。
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★★★★
闇の運命(さだめ)を背負う者
著者: 神坂 一
ISBN: 4044146055
発売年月: 1996/09
本体価格:¥ 571
amazon 紀伊國屋 JBOOK
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内容説明
普通の高校生・国間仁。 彼は毎晩「前世の運命を思い出せ」という人影の夢になやんでいた。
「やかましいわぁぁぁぁぁぁ! おかげでこっちは寝不足なんだよ!」
そんな人影がとうとう現実に現れてしまって…。
感想
シリーズ第一巻目です。
世界観は、現代の日本。 そこで転生を繰り返しながら『闇』と『光』に分かれて戦いあう、という話です。
すでに記憶がよみがえっている『闇』の人たちが、主人公を『闇』に目覚めさせようとします。
ギャグではないはずなのに、登場人物が軽い性格をしているので、シリアスさも全然ありません。
『光』に襲われながら、ボケツッコミをする話が続きます。 思ったよりも単純な話でした。 「運命」に関する会話などが話の大半をしめています。
最後は、『光』によってヒロイン達が倒されるのですが、実は仁は力に目覚めていた! というオチになります。 目覚めていたのだけれど、戦うのが嫌で、逃げ回っていたということです。
ボケと戦いの混じった作品です。 ドタバタする話が面白いです。
神坂一さん得意の、『軽いキャラ+戦闘』です。 読みやすく、作品のレベルは高いでしょう。
私の評価は、「高い評価」です。
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★★★
闇の運命(さだめ)を背負う者〈エピソード2〉
著者: 神坂 一
ISBN: 4044146063
発売年月: 1997/09
本体価格:¥ 525
amazon 紀伊國屋 JBOOK
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内容説明
『闇』の戦士としての記憶を持ちながらも、『光』との戦いを否定する高校生・仁。
そんな仁に、『光』からの刺客がやってくる。
「運命に縛られるつもりはねえ」
とうとう『光』との戦いまきこまれてしまう仁だが、そこで不思議なことに気づいてしまう…。
感想
シリーズ第2弾です。
前半は、平和に暮らしたいのに戦いに巻き込まれていく話。 後半は、『闇』と『光』を戦わせている真の悪者が現れて、全員協力しての戦いになります。
1巻よりもギャグが少なめで、雰囲気が硬くなってしまいました。
さらに主人公の活躍が全然なかったのが問題だと思います。 前半は「戦う運命」について考えてばかりですし、 後半は6,7人くらいで協力して戦うので、一人一人があまり目立っていません。
最後は、敵を倒してハッピーエンドで綺麗に終わっていますが、 特に見所のない作品でした。
読みやすいですが、 ギャグシーンや盛り上がる展開が無く、全体のレベルが下がったように感じます。
私の評価は、「平均レベルくらい」です。
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★★★
闇の運命(さだめ)を背負う者〈エピソード3〉
著者: 神坂 一
ISBN: 404414608X
発売年月: 1999/02
本体価格:¥ 546
amazon 紀伊國屋 JBOOK
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内容説明
戦いは終わったはずなのに、何者かが仁たちを襲った!
「考えられる可能性は一つ。 『マスター』はまだ生きている」
次々とやってくる刺客に、仁たちは身を守るしか手立てがなく…。
感想
シリーズ最終巻です。
みなで協力して『マスター』を倒したはずなのに、さらに刺客が次々と現れます。 終わりごろになって真実が判明し、今度こそ本当に最後の戦いになります。
さらにシリアスな話になります。
日常を過ごしているメンバーに対して、刺客がたくさん現れて、1対1の戦い話がずっと続きます。 特に感動もなく、もくもくと戦うだけです。
その結果、たくさんの人間が死にます。
読みやすいので、いっきに読めますが、ライトノベルっぽい話ではないと思います。
終わり際になって、やっと敵の正体がわかるのですが、やはり代わり映えのない戦いがあるだけです。
ハッピーエンド? 読みやすい作品でしたが、死人が多くでたので、最後も明るい話にはなっていません。
私の評価は、「平均より少し下」です。
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